2017年 02月 21日
Lucid Dreaming |
少したってしましましたが、ブログ上でも報告を。
2/18 午後、ツアー3回目初日、計16日間のトライでLucid Dreaming V15を完登しました。
やっと登れました。本当に長かったです。そして呆気なかった。
1月にビショップは大雪でボルダーが埋もれてしまい、今ツアーまでに解けるか心配していましたが、グランパ周辺はほとんど雪も無くトライ自体は問題ありませんでした。
ただビショップに着いてから3日連続雨。まさか砂漠でこんなに雨が降るとは…
雪解けと降雨でエリアまでの道が崩壊してました。今も崩壊中で下手すると復旧にかなり時間がかかるかも。
んで、18日の昼に雨が止んで、夕方晴れ。雨で完全に腐ってたのでムーブの練習だけでもと思いエリアへ。
エリアにはほとんどクライマーがいない状態でちょっと異様でした。
5.8を登ってフィックスを張り、上から掃除して、アップして、いよいよムーブ練習。
今年はProcessやってるDanもいないのでマットは持ってきた2枚とサブマのみ、上部がちょっと怖い。
ムーブの方はというと2回目でいきなりランジが止まった。
左手のピンチの感触はまだ良くないにも関わらず、かなり安定して止まったので正直ビックリした。
続けてもう1回。そしたら変な結晶に当たってしまいいきなり中指流血…
血が止まるまでランジの飛び出しだけ練習したけど、どんどん感触が良くなり、最終的にはほとんど飛ぶことなく右手をキャッチできるようになった。
信じらませんでした。そして薄々感づいていました。この課題はもう登れるのだと。
下部のムーブを確認して、その予感は確信に。そして、今日、今、ここでこの課題を登るべきだという強い意志に変わりました。
少しレストして下からトライ。1回目はピンチしている手が悴んでランジでフォール。
2回目は右手を捉えたものの振られから戻ってきたところで落とされました。まだ気持ちが浮ついていたように感じます。
3回目は左手がすっぽ抜けピンチ取りで失敗。
そして指皮が削れてきた4回目、遂にランジが止まりました。
正直なところ自分が、そのランジを練習ではなく下から繋げて止めたのだと認識することができませんでした。
悴んでくる指で必死にホールドを握って上のパートをこなしやっと安全地帯に辿り着いて、少し冷静になりました。
トップまでの易しいスラブを歩いている最中、僕はこれまでの3シーズンを思い出していました。
クライミングから遠ざかりつつあった2年間、失敗に終わった2回のツアー、京都への移住、研究生活、一人でトレーニングした京大ウォール、沢山の方から頂いた応援の言葉、不安、トライしたくなかった2年間。
この感情をどこへ向ければいいのか、どう表現すべきなのか最初はわかりませんでした。
でもトップに立って、エリアを見渡し、自分がこの課題を登ったのだと自覚した時、自分は強くなっていたのだと感じました。
ただボーっとしていた訳ではなく、時間が解決してくれた訳でもなく、自分は前進していた。ただそれに気付いていなかったのだと。
ただそれを、この上なくうれしく感じました。
岩のトップで何回も叫びました。
格好悪いですがちょっと泣きました。
前にもここで書いたように、僕はこの課題にトライしたいと思ったことはありません。
全くごまかしの効かない、ただ保持にのみ特化した難しさ。正直僕のタイプではありません。
特に憧憬の念があったわけではありませんし、隣の課題の方がカッコいいですし。
特にこの課題に固執する理由がなかったのです。
だから執念というよりは、単に諦めがつかなかったという感じなのかもしれません。
もっと、自分がトライしたいような、自分の培ってきたスタイルを発揮出来るような課題にこの貴重な3シーズン捧げるべきだったと思います。
だから僕は、この課題に固執していた時間は無駄だったと思っています。
もっと有意義な時間の使い方があったと、経験値の貯め方があったと。
この課題のために自分がやりたいクライミングを我慢してきました。
本当に無駄だったなと。
でも今は、その無駄を受け入れることができます。というかやっとその無駄を受け入れることができました。
無駄だっていいんですよ。クライミングなんだから。
あっけない幕引きでしたが、昨シーズン、あと1日やったところで同じ結果だったと思います。
この二年間があっての、最後の2時間でした。
この課題に費やした時間は無駄でも、この2年間日本でやってきた事、エッジで、京大ウォールで、やってきた事は無駄じゃなかったと思います。
研究と両立できてないのではないかとずっと心配でした。
週2日、計6時間程度のトレーニングで一体何になるのかと思ってました。
しみじみと、よかったなぁって思います。
まだまだ頑張れそうですね。でも流石にもうちょっと登りたいかな笑
トライしている最中も、トップへのスラブを歩いている時も、そして今も、応援してくれた方々の事を思い出します。
本当に皆さんの支えがあってあのトップに立てたのだと思います。
特に3シーズンずっと動向してくれたいましさんと、全てのツアーをサポートして頂いたThe North Face様にはお世話になりました。
ありがとうございました。
ルシッドが終わったらと、考えていた事が沢山あります。
やっとスタートラインに立てました。
by sarutheomon
| 2017-02-21 15:56
| Bishop