2016年 03月 08日
壁 |
ビショップツアー終了しました。
成果はありません。Lucid Dreamingは遂に登ることができませんでした。
トライ5日目は何度もあと一歩のところまで行きました。本当に惜しかったと思います。
最終的には昨年と同じく右手の人差し指と中指が裂けました。血が出る指を見て直ぐにテーピングを巻いてトライを続けることや、翌日の夕方にトライすることを考えました。
しかしそれと同時に「もうだめだ」「終わったんだ」という考えが過ぎりました。思ってしまったのです。
僕は岩の前に突っ伏して泣きました。地面に頭を擦り付け、鼻水を垂れながら嗚咽しました。
敗退したというよりも、トライするのを諦めてしまったという方がいいと思います。それほど情け無い敗退でした。
強くなるためには最初に自分の弱さを知る必要があると僕は考えます。
クライミングを始めてからずっと、様々な課題をトライする中で如何に自分の弱さと向き合い、克服してゆくか考えてきました。クライミングに関して苦手をどのように克服し、強くなっていけばいいかはおよそ分かったつもりでいます。
その原動力はモチベーションで賄ってきました。だから僕はモチベーションが続く限り苦手を克服し強くなり続けることができるはずなのです。
しかし、ここ数年で分かったのは自分のモチベーションが本当に不安定であること、そして有限であることでした。そして自分にそれをコントロールする術がないことが一番の課題となりました。
どうすれば一時の気分に惑わされず確固たる意志を持って課題と向き合えるのか、それは僕にとって最後に残った最大の壁となりました。
Lucid Dreamingは正にそのような課題です。僕はあの課題に対して思い入れや憧れを抱いたことはありません。内容も自分の苦手を凝縮したようなもので、本来なら手をつけない課題筆頭のようなものでした。モチベーションの対象ではないのです。
だからこそ僕はこの課題を登らなくてはならないと感じました。
そしてこの課題が登れたら、他人の課題で難度を追求するのを諦めて自分の好きなことに全てを捧げようと決めました。
一回目のツアーの結果は惨敗。全てをぶつけた上での敗退で本当に悔しかったです。
この一年、正直僕はこの課題から逃げたいとずっと思っていました。準備が遅れたのはそういう理由です。
しかし、準備不足であってもツアー初日に触った時にその変化に驚きました。登る時間が少なくなっても進歩していることを嬉しく思いましたし、この課題は完全に登れる範疇になったと感じました。
それでも僕は課題から逃げたいと思いました。間違いなくクライミング能力に関しては十分登る能力は身についたと思います。ただ結局それを成し遂げる事はできませんでした。僕は遂に逃げ出してしまったのです。
あと1日あればなど色々な事を考えました。しかし結局、僕は確固たる意志のもと課題に向き合うという課題を克服することができなかったのです。
僕はただだらしなく、弱いままだったのです。
僕にはこの壁をどうやって越えればいいのかがわかりません。ただ盲目にLucid Dreamingに挑み、そこから回答を見出すしかないのです。
あの課題を登ることが壁を越えることになるかはわかりません。ただ僕にできる事はそれを続けることです。
だからまた必ずビショップに行こうと思います。
応援してくれた方々、あと少し、という程短い時間ではありませんが見守っていただけるようお願いします。
折れずに頑張っていこうと思います。
by sarutheomon
| 2016-03-08 00:25
| Bishop